授業が終わって
みんなで話して笑っている。
一人 二人と親が
迎えにやって来て私の
友達は手を繋いで
笑って帰っていく。
私には迎えなんて来ない。
帰って来なければ
いいのにと思ってるんだろう。
みんなの後ろ姿を
一人で見送る。
カカシ「悲しいの?」
私の背後の高い所から
落ち着いた声が聞こえた。
それはカカシ先生のものだと
すぐに分かる。
私はふるふると左右に
首を振った。
私は楽しかったことなんて
何一つ知らない。
両親が生きてた時の
ことも何も覚えてない。
楽しみを知らない私に
悲しみなんて分かるはずない。
今この状況が
他の人にとって
悲しいものだとしても
わたしはこれしか
知らずに生きてきた。
私にとってこの状況は
「普通」だわ。
「私には家族も居る。
友達も居る。
悲しいことなんて
何にもないよ」
カカシ「人が周りに存在してるから
一人じゃないなんてのは
間違いだよ」
どうゆうこと?
私が疑問を頭に浮かべたと
同時にカカシ先生は
私の前に居た。
私と同じ目線まで
しゃがんで、
私の頭をぽん と叩いた。
カカシ「が元気がないと
オレは心配になる。
が無理して笑うと
オレは辛くなる。
アカデミーで一緒に
頑張ってる仲間も
みんなそうだと思うよ。」
「……」
カカシ「そういう人が周りに
居るってことを
独りじゃないって
言うんじゃないのかなー」
「……」
へら っと笑って、
彼は私の頭を
ぐい と自分の胸に押し付けた。
カカシ「ま、泣きたい時は
泣けってことだよ」
「!……っ」
こらえていた涙が
溢れ出す。
私は初めて人前で泣いた。
その涙は声と共に
止めどなく私から流れ出た。
→次