「よ く出来ました」










「カカシ先生?」




呼び掛けても返事がない。
彼は私の隣で
ただひたすら遠くを見ている。



こんなことはしょっちゅうだ。





「カカシ先生ってば!」



カカシ「…ん…?ああ、ぼーっとしてた」



気だるそうな片目をゆっくり
こっちに向けて、彼はそう言った。





彼は私と二人で居ても
何一つ女として意識なんて
してくれない。




そりゃ、確かに
元先生と元生徒って
関係だけどさ…、




はあっとひとしきり大きな
溜め息をついた。




カカシ「何か怒ってんの?」


きょとんとした顔。
人の気も知らないでさ。




「何も!」




ふん!
私はこんなに先生のこと
想ってるのに……。



――――――――――――――――







カカシ先生と私がこうして
二人で行動することに
なったのは2日前。




もともと三人で行動してたけど、
一人怪我をしてしまい、
その不足を補う人材を
探している時間もない程
急を要するが、
特に危険もないだろうということで
二人で任務に向かっている。





カカシ先生、といっても
今は私も中忍として
カカシ先生と同じ一人の忍だ。




アカデミーに居た時
私の担当の先生は
カカシ先生だった。





私が彼に対して
こんな恋心を抱き始めたのは
その時から。





私の両親は小さい頃
戦死して、私は遠い親戚の家で
暮らしてた。



親戚は私のことをよく思ってなくて
私の周りに人は居るけど
心はいつも独りだった。




学校でも友達は居る。
一緒に笑う。



けど本当の笑顔は出来ない。
いつもどこかで
孤独を感じてたから。




そんな時わたしは先生に出会った。